ブラジル人の顔

ブラジル人の顔は、実に多様性にとんでいて、街を歩く人の顔を観察するのが面白い。
イタリア•スペインなどラテン系の顔が多いが、白人には青い目で金髪や赤髪のドイツ•オランダなどゲルマン系、ロシア•ウクライナなどスラブ系の顔もちらほら見かける。そして西アフリカ系の黒人。黒人と白人の混血(ムラート)の顔は血の濃さによってほんとうにいろいろな種類がある。でも、たしかにブラジルに多いよなっていう混血の顔もあって、サッカーのブラジル代表で言うと、ルイス•グスタヴォやパウリーニョあたりは、典型的なブラジル人の顔だと思う。あとは混血の具合によって、インドなど南アジア系の顔に近い人もたまにいるので不思議だ。南アジアの顔は白人のアーリア系と黒人のドラヴィダ系の混血なので、ブラジルでも偶然インド人みたいな顔が生まれるみたい。ぼくは南アジアが好きで友人もいるので、なんだか親近感がわく。あとはアラブ系。ブラジルはレバノン系の移民が多いらしく、たまにアラブの顔をした人も見かける。逆に少ないのは、ベトナム~タイ~インドネシアあたりの東南アジア系の顔か。これは移民が少ないからか、ほとんど見かけることがない。

あとは日系を代表とする東洋人の顔も少なくない。ブラジルは日系人口が世界で一番多く(数え方にもよるとだろうが、135万人とも150万人とも。ブラジル全体の人口は約2億人)、多くの日系人ががサンパウロに住んでいるので、ここでは日本人の顔が珍しくない。面白いのは、こちらで育った日系人は現代の日本人にくらべ、特に男性の体格が良く、アゴが昔の日本人みたいに太い人が多い。ブラジル人はマッチョ志向で筋トレが好きなことと、肉や乳性品など食べる物が違うので、同型の遺伝子を持っていても発達が違ってくるのだろう。

サンパウロの街をはじめて歩いてみて、どこへ行っても、地下鉄やバスに乗ってもまったく視線が飛んでこないのが新鮮だった。ふつう、日本人に顔が似ている中国とか東アジア以外の国で、街をうろついていると、顔や漂う雰囲気の違いから、現地の人に少なからず注目されるものだ。僕がこれまでに行ったことのある移民の多い大都市、欧州のロンドンやパリなんかでも、中華系が多いタイのバンコクですら、観光客の多い中心部を少し外れると、そういった視線を感じた。しかしサンパウロでは視線がまったく気にならず、自分の容姿が現地に溶け込んでいるのを感じる。店で物を買ったりする時も、ぼくが下手くそなポルトガル語で何か尋ねるまで、ほとんどの人がぼくが日本人あるいは観光客だと気づかないようだ。それほど日系の人が多いし、最初の移民から100年以上の歴史があるので、日系がブラジル社会の一部になっているのを感じる。郊外へ出てファベーラ(ブラジルのスラム)なんかへ行ったらまた違うんだろうけど。目立たないので、観光客狙いの犯罪に遭いにくいという面ではいいことかも知れない。

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