ISSP参加 8月4日 4日目 

6時半に起床。ラトビアでもさすがに真昼は光が強すぎるため、光がよい早朝を狙い、7時20分のバスでクルディガへ向かう。今日も河の周りの人々を撮影。9時20分のバスでペルチに戻り、10時15分からワークショップに参加。毎日撮った写真をアレッサンドラや他の参加者にみせ、アドバイスを受けながら、今回のワークショップ中にまとめるべきテーマを少しずつ詰めていく。午後は参加者全員の個別ポートフォリオレビュー。希望した2名、3名の講師に20分ずつレビューをしてもらえる。僕はジム・ゴールドバーグとポーランド人写真家のラファル・ミラチに、今回東川町のオーディションを受ける際に提出した在日イスラム移民家族のドキュメンタリー『Living in Between』でレビューを受ける。ドキュメンタリーとアート写真の間に位置するような作品を撮るラファルには、悲しみや喜びといった感情にもって迫ってみたらとアドバイスされる。『Open See』という欧州の移民問題を扱った作品で有名なジムには、語るべきストーリーがあるのは明らかだから、もっと近づいて「Intimacy」を見せろ、それを表現するために、構図やライティングなどあらゆる技術を使えと助言される。自分でも被写体への近さと、技術的な部分やバリエーションが足りていないと感じていたので、これからはもっと考えながら撮影や編集を続けようと決意する。なぜそれを撮るのか、ということは誰にもまったく聞かれなかったので、語るべきストーリーが確かにあると認められたことは、自信にもなった。

昼食で同じ日本からの参加者、元木さんと話していると、今夜は地元の猟師と鹿猟にいくということで、同行させてもらうことに。夕方まで少し昼寝して夜の猟に備える。毎日昼間は撮影し、夜中はバーで飲んでいるので、そろそろ疲れもたまってきたころだ。20時になると、元木さんと同じコースにいるラトビア人、カーティスの車で猟師さんの家まで連れていってもらう。今晩猟に同行させてもらうジンタルスさんは47歳の警察官。地元の狩猟組合に属しているハンターだ。とても親切な人で、まず家の中に置いてある動物の剥製などを色々と見せてくれる。その後、車で猟へ。ラトビアの猟はとてもシンプルで、車で走って平野の中に鹿を見つけたら、車を降りて後をつけ、射程距離に入ったところで射撃する。ジンタルスさんは、さっそく草原の中に鹿をみつけ、狩猟が許されている雄鹿であることを双眼鏡で確認すると、車を路肩に停めてトランクからライフルを取り出し、忍び足で鹿を追いかける。ある程度近い所まで近づいたら、静かにするために僕たち3人はその場にとどまり、ジンタルスさんだけが鹿を追いかけた。しばらくして、一瞬、バーン !!という音が草原に響きわたり、夕闇に向かう静寂を銃声が一瞬で突き破った。弾丸が飛んだ方向にエコーが走っていく。3人は銃声の鳴った方向へ早足で向かった。撃たれたのはそれほど大きい鹿ではないようだ。夕日が沈み、草原のかなたで空が青から闇へと染まっていく。やがてジンタルスさんが子鹿を片手で引き摺りながら車の方へ少しずつ歩いてきた。僕たち3人と落ち合うと、嬉しそうに撃った子鹿をみせてくれた。その後、鹿は車で屠場まで運ばれ、他のハンターの手伝いもあり、30分ほどできれいに捌かれた。解体の撮影も終わり、我々は3人で車に乗って宿舎まで帰る。途中で、ジンタルスさんが解体した鹿の肉をそのままぜんぶくれたことを知る。どこまでも親切な人だ。子鹿は翌日の夕食となって我々ISSP参加者の胃袋に入ることとなった。

ISSP_ラトビア_写真家07

 

ISSP_ラトビア_写真家06

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