ISSP参加 8月1日 1日目

中央駅前の広場に参加者の写真家たちが集まり、11時半前に定刻より遅れてリガを出発。クルディガまで約3時間の道のりだ。ずっと平野の中を走る。ほとんど真っすぐな道路の両側に広がるのは黄金色の小麦畑、緑の牧草地と白樺や赤松の林。ほとんど人工物はみあたらない。北海道の中でも人口が少ない道北の景色にもすこし似ている気がする。自然が美しい国だ。

14時半にクルディガ市内中心部から10キロほど離れた宿舎に到着した。ISSPの会場となるのは、森に囲まれた古城だ。その周囲にいくつか寄宿舎があり、普段は寄宿学校の学生がここで勉強しているらしい。あたりは森に囲まれ、敷地内には一面にきれいな芝生が広がり、勉強するにはこれ以上ない環境だ。受付で参加登録し、宿舎の部屋でこれから10日間お世話になる自分のベッドを選ぶ。

昼食後、15時半からオープニングセレモニーが開かれた。ワークショップを主催するスタッフたちは、ほとんどが僕と同世代に見え、そしてほとんどが女性。彼女たちがISSPの趣旨や歴史の説明をし、次に講師の紹介。そして参加者が国別に分かれて簡単な自己紹介した。参加する写真家は全部で73名。地元ラトビアが9名と最も多く、次に地理的にも近いロシアから7名と続く。その他、ドイツ、イタリア、フランスを始め西ヨーロッパからの参加者も多い。北欧や中欧の小国からも数名ずつ。南米からの参加者も数人いた。アジア系は僕も含めた日本人が4名のみだった。写真大国アメリカからは、欧州から遠いせいか1名のみの参加だったのが意外。そして参加者の年齢層も予想以上に幅広く、若い人は20歳そこそこ、上は50歳くらいまでいるようだった。セレモニーは終始なごやかな雰囲気でおわる。

オープニングの後は、ワークショップごとの初顔合わせが行なわれた。僕はマグナムのアレッサンドラ・サンギネッティのワークショップ、「Narrative Portrait」に参加した。はじめは希望が通らずに本作りのコースに振り分けられていたのだが、事務局にメールでどうしてもコースを変更してほしいとお願いし、アレッサンドラのコースに変更してもらっていた。初顔合わせでは、具体的な課題も出されず、参加者がそれぞれ自己紹介。また、なぜポートレートのコースを選んだのかを説明し、それぞれの課題は明日の朝話し合おうということになった。

夕方はみんなでバスに乗りクルディガ中心部のツアーに出かけた。ラトビアの夏の夕方の光は透き通るように柔らかく、すべてが輝いているように見える。日本の夏の夕暮れなら15分ほどしか差し込まないような柔らかな斜光が、3、4時間も続くよう。日本よりはるかにゆっくりと太陽が沈む。この時間に写真を撮れば どんなものでも美しく写りそうだ。緑の芝生や色とりどりの花で飾られた公園、平野の中をゆっくりと流れる河。クルディガは美しい町だった。

寄宿舎に帰って夕食後、夜は20時からオープニングクイズ。参加者と講師がランダムに8つの班に分けられ、写真史や写真家にまつわるクイズに臨む。クイズがあまりにも難しく、驚く。それでも30問中26問正解したグループがあり、欧州の写真家はほんとうに写真のことをよく勉強していると思う。夜は、ワークショップが行なわれる古城の玄関に、ラトビアの生ビールが2€で飲めるバーが開かれる。音楽がかかり、毎晩遅くまで踊る人も多かった。夜は23時まで明るさが残っていた。

ISSP_ラトビア_写真家

(ワークショップが行なわれる古城)

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