ラトビアへ

ヘルシンキからリガへ向かうプロペラ機の窓から見下ろしたバルト海は、Balt(白い)海というその名前にふさわしく、夏の北欧の透き通った光を反射して一面が白く輝いていた。地図で見るとバルト海中北部の地形は多島海になっていて、無数の小島が沿岸に浮かんでいる。はるか下方に広がる海をぼーっと眺めていると、自分の故郷、長崎県の九十九島近海の風景を思い出した。

リガの空港から外へ一歩出ると、明るくてやさしい光がすぐに差し込んでくる。18時を回っているのに日はまだまだ高く、日本の昼過ぎのような明るさだ。空の色が青い。3000メートルを越えた高地のように青が澄みきっている。こんな光と空が広がる国ならよい写真が撮れそうだ。そう期待してバスに乗りリガ市内へと向かった。車窓から見渡すリガの街は緑の芝生と街路樹、公園がいたるところで目につき、自然であふれている。これほど緑が濃い都会に今まできたことがあっただろうか。リガはラトビアの首都でれっきとした都会だが、街の中に緑があるというよりは、緑の森の中に広がった街と言ったほうがいいかもしれない。そして時おり現れる、外壁がレンガで覆われた古いビルやアパートの造りは、どこか旧共産圏の面影を残している。バスを中央駅の近くで降り、重い写真機材が入ったスーツケースを石畳の上でガタガタと引きずりながら旧市街の中を歩き、この日の宿に向かう。外はまだ明るかったが、日本とは6時間遅れの時差を調整するため、明日からはじまるワークショップへの少しの緊張感を残したまま、22時頃眠りに着いた。

_DSF3144(リガの旧市街)

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