ISSP参加 8月9日 9日目

きょうはクルディガで過ごす最終日。きょうだけ朝食は遅めの10時からとなっている。ゆっくり朝食をとったあとは、12時から、芝生の上にみなで車座になり、ポートフォリオレビューワーとして参加しているYETマガジンのエディター、パウラが中心となって写真の将来や、ワークショップを行なうことの意義について講師と生徒が話し合った。ISSPはどの講師にも生徒にもおおむねとても好評だったよう。

「写真の世界ではなぜこうしたワークショップという形式が盛んなのだろうか」(パウラ)という問いかけからはじまり、「写真学校で写真だけ勉強しても、ほとんどの学生は卒業後に語るべきことがない」(ニコ・バウムガーテン)といった発言や、「写真は世界のことで(Photography is about the world)、つまりは自分の周りの世界とどう関わるのかということ」「写真のエディットのプロセスの多くは隠されているので、それを生徒と講師がシェアして、何を選んで何を選ばなかったのかを見られるのはとてもよい経験」(アナ・フォックス)、ある参加者からの「ワークショップの限られた時間の中で、わざわざ時間のかかる展示をする必要があるのか」という声に対しては、「クルディガとペルチのコミュニティの人々がドアを開いて写真を撮らせてくれたので、展示をしてお返しをするのは我々の責任」(ジム・ゴールドバーグ)といった意見もあった。

僕としては、クルディガのような自然あふれる環境の中で、約10日間、写真だけに集中できるワークショップはとても素晴らしい機会だったと思う。世界中から、人生をかけて真剣に写真に取り組み、これからもっと先へ進んで行こうとしているハイレベルな写真家たちが集まり、約10日間、優秀な講師とともに非常に密度の高いスケジュールでワークショップを行なえる機会は本当に貴重だ。ISSPは同じ写真家が3回まで参加できるようになっていて、2度目の人も3度目の人もけっこうな数がいたのは十分に納得できる。

午後は教室でコースごとの最後のミーティング。アレッサンドラから修了証書が手渡され、生徒が感想を述べる。アレッサンドラから写真に対する自由をもらったと言う生徒が多く、僕もまったく同意した。さらに、クルディガという小さな街の小さなコミュニティの中だけで、それぞれに、これだけ語るべきストーリーがあったという事実は感動的ですらあった。写真は物をどう見るかということ、まなざしなので、自分の物の見方次第ではいくらでも撮るべきものがあるという大切なことを教えられた。今回のワークショップを受けたことで、自分の写真への理解が大きく進んだ気がしている。ワークショップで学んだすべてのことを消化するにはもっと時間がかかりそうだ。

教室を離れた後、お城の前の芝生の上で最後のピクニックをして、18時のバスでリガへ戻る。車でクルディガまできた参加者もいて、ここでお別れとなる人も少なくなく、お互いにハグをしてお別れする。みな疲れ果ててバスの中ではほとんど爆睡していた。リガに着き、きょうはさすがにみんな飲まないかと思っていたら、当然のように今晩も皆で集まることになり、チョムスキーといバーへ。昨晩まったく寝ていない人たちもいて、みなの体力にはほんとうに驚かされる。

ISSP_ラトビア_写真家12

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