『ジャシム一家』銀座ニコンサロン展を終えて

『ジャシム一家』の銀座ニコンサロンでの展示、きょう無事に終わりました。6日間で約1500人の方にお越しいただき、盛況のうちに終えることができました。

会場で予想以上の反響と質問をいただき、毎日午後から夕方までずっとジャシム一家や彼らムスリムのコミュニティのこと、展示の意図などをお話しているような状況でした。日本に住む移民やムスリムについて、みなさんとても興味と関心を持っていることに驚きました。

事前情報なしで会場に入ってきた方も、日本家屋を改築したモスクの前の礼拝の写真など、びっくりされている方が多かったです。それぞれの方が自分なりに写真を解釈して、彼らの暮らしのことをいろいろと想像してくれたのがうれしいことでした。

この1年半くらいの間、今はもうなくなってしまった別の公募展を含め、2〜3ヶ月に一度、合計7回もポートフォリオをまとめ展示案を作り直して応募を繰り返し、今回ようやく銀座ニコンサロンで展示を開くことができました。その過程で、最初はいろんな方に多少アドバイスをもらっていたのですが、7回目はすべて自分ひとりで編集を行いました。

一つ一つの写真をプリントしてじっくり眺め、何が写っていて、あるいは写っていないのか、丹念に選んでいきました。そして、自分がジャシム一家やムスリムのコミュニティの中で時間を過ごしている間に、おおっ、と驚いた瞬間やすごいと感じた場面、いいなあと思った瞬間に身体が反応してシャッターを切った写真を淡々と並べることにしました。自分が感じている雰囲気や彼らとの距離感を素直に表すためです。

すべて自分で決めるのはかなり苦しい作業でした。写真は撮るのが半分、編集が半分とよく言われますが、その意味を体感したところです。もうだめかとあきらめそうになったこともありましたが、粘り強く編集を続けてよかったと思います。

こうしたギャラリーでの個展ははじめてでしたが、来場者の反応を直にみて、聞くことができ、写真をやっている人間としてまたひとつ、展示という面白さを知りました。いろんな課題や今後の計画も見えてきました。あとは、展示を構成する段階でようやくクリアになってきたので、迷走していた写真集の編集作業も再開したいと思います。

大多数のはじめてお会いする方に加え、多くの友人知人の方にも来て頂きました。後半は、SNSでみたと言って来られた方がとても増えた印象です。

僕の育った長崎の島を知っている人、北海道の人、北大の先生や同期先輩後輩、昔トルコからイランまで一緒に旅をした人、パキスタンで会った人、インドで会った人、沖縄の人、ブラジルで会った人、阿佐ヶ谷の人、昔の職場の上司、写真家の仲間たちやいま一緒に仕事をしている人。また都内のモスクに行ったらなぜか埼玉在住のムスリムに写真展を紹介され飛んで来てくれたイスラム研究者の方など、本当にたくさんの方にお会いすることができ、自分の半生を振り返っているような気持ちにもなりました。

強く印象に残っているのは、パキスタンかどこか南アジア系のハーフの顔立ちをした若い女性が、丁寧に文章を読んでからほんとうにじっくりと展示をみてくれ、よかったです、と一言会釈して会場を出て行かれたことでした。

最後に、展示にきて頂いた方、またSNSでシェアしてくださった方などほんとうにありがとうございました。今月 9/28 -10/4には大阪ニコンサロンで同じ展示をしますので、関西の方や大阪に出張の方はぜひご来場ください。会場でお待ちしております。

今後は、札幌や他の場所などでもしばらく展示を続けていきたいと思っていますので(まだ何も決まっていませんが)、そちらの方もよろしくお願いいたします。
そして、素晴らしい場所を用意していただいたNikonの方に感謝いたします。

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