【トークイベント】田川基成×望月優大(ニッポン複雑紀行編集長)

第20回三木淳賞受賞写真展「ジャシム一家」の会期中に、 望月優大氏とのトークイベントを開催します。

◆田川基成×望月優大 トークイベント◆
日時 | 2018年12/8(土)
時間 | 18:30 – 19:30
会場 | 新宿ニコンサロン THE GALLERY
新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー28階
「ジャシム一家」写真展閉場後に、同会場で開催
予約不要、入場無料です。当日直接会場にお越しください。
http://chsv.nikon-image.com/activity/exhibition/thegallery/photoevents/2018/20181208_talkevent_02.html

日本の移民・難民事情を伝えるWebマガジン「ニッポン複雑紀行」(by 難民支援協会) の編集長を務め、いま注目の社会派ライター/編集者の望月優大氏。

ともに移民・難民をテーマに表現活動を続ける同年代の二人が、写真展「ジャシム一家」を切り口に、現代の移民事情、来るべき日本の移民社会について話します。
お誘いあわせの上、写真展と合わせてぜひご参加ください。

◇写真展「ジャシム一家」◇
会期 | 2018年12/4(火)- 12/ 10(月)
開廊 | 10:30 – 18:30
※12/9(日)は休廊、最終日は15時まで
住所 | 新宿ニコンサロン THE GALLERY
新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー28階

「ジャシム一家」作品内容
http://www.nikon-image.com/activity/exhibition/salon/awards/miki/winners/20th/

写真展詳細情報
http://www.nikon-image.com/activity/exhibition/thegallery/events/201706/20181204_shinjuku.html

ニッポン複雑紀行
https://www.refugee.or.jp/fukuzatsu/

◎田川 基成(タガワ モトナリ)
写真家

1985年生まれ。長崎県の離島出身。ベトナム難民と過ごした幼少期という自身のルーツや、北海道などこれまでに暮らしてきた土地、イスラム圏や南米などへの旅を通して「移民」と文化の変遷に関心を持ち作品を発表。

日本のイスラム社会のほか、故郷である長崎の海とキリシタン文化、日本のベトナム難民、北海道などをテーマに撮影している。千葉に住むイスラム教徒でバングラデシュ人 の移民家族を5年に渡って撮った写真展「ジャシム一家」で第20回(2018年)三木淳賞受賞。
https://www.motonaritagawa.com

◎望月優大(モチヅキ ヒロキ)
ライター・編集者

日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」編集長。経済産業省、Google、スマートニュースなどを経て独立。株式会社コモンセンス代表取締役。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。1985年生まれ。
Twitter @hirokim21

3/16 – 3/21『ジャシム一家』札幌展

 

3月に札幌で『ジャシム一家』の展示をすることになりました。
昨年の秋に銀座/大阪のニコンサロンでも展示した作品です。

第二の故郷・札幌でついに写真展ができることをとてもうれしく思います。
雪も溶けはじめ春が近づいてくる季節、札幌と北海道の方はぜひご来場ください
会場でお待ちしています。開催前日の3月15日夜にはトークイベントも行います。


写真展『ジャシム一家』
場所: 札幌市教育文化会館ギャラリー http://www.kyobun.org/etc/access.html
期間: 3/16(金) – 3月21(祝・水)

時間:9:00 – 20:00 ※最終日は19:00まで

写真展プレトーク 「ジャシム一家と日本のイスラム社会」
フェアトレード雑貨&レストラン みんたる
住所:札幌市北区北13条西3丁目2-19   http://mintaru.com/2011/

千葉県にで暮らすイスラム教徒でバングラデシュ出身の移民家族、ジャシム一家とそのまわりのムスリムのコミュニティを5年以上撮影してきた田川さん。日本の「イスラム」や「移民」をテーマに撮影を続ける写真家が、撮影した写真スライドとともに、これまでの取材で感じたことや、見てきたことをざっくばらんに話します。

参加費: 一般1000円、学生500円 (ワンドリンク付き)
1時間ほどのトークと、その後に質問タイムを予定しています
イベントの後にはお店で交流会もあります

【写真展ステートメント】

2012年、あるきっかけから日本に住むムスリム(イスラム教徒)のバングラデシュ移民家族と知り合い、親しく付き合うようになりました。父のシクダール・ジャシムさんはバブルの絶頂期に来日し、建設や解体の現場で働いてきた人です。

 ジャシムさんと妻、三女一男の家族は千葉県郊外にある団地で暮らしています。田園が広がるその地域は、水と緑にあふれた母国ベンガルの風景とも似ているせいか、バングラデシュや南アジア出身のムスリムの人々がゆるやかなコミュニティをつくり、中古車などの貿易や建設の仕事をしながら生活しています。
 
ジャシム一家の暮らしには、我々がムスリムに対して連想しがちな、毎日必ず五回熱心に礼拝するような姿はありません。郊外に住む日本人の家族と同じように車で大型スーパーに行って食材を買い込み、自宅でカレーを作って食べた後、Youtubeやテレビを見て過ごす。お盆に団地の公園の夏祭りに出かけ花火を観て夕涼みしたかと思えば、断食月が明けた朝には近郊にある日本家屋を改築したモスクに参拝し、大勢のムスリムと一緒にイスラム歴の祭りを祝う。
 
彼らはイスラムとバングラデシュという二つのアイデンティティを大切にしながらも、日本の言語や文化・風習にも親しみ、ひょうひょうと生きている。私はそのことにかえって移民の生活のリアリティを感じます。
 
彼らと過ごした時間は、想像よりもずっと静かで、淡々と流れていきました。それはたしかに日本でありながらも、どこか知らない場所にいるような、不思議で豊かな時間でした。この国に根を張り伸ばそうとしている彼らは、これからどのような未来を迎えるのでしょうか。いまは期待と少しの心配を胸に抱いています。

中古住宅、プレハブ — 日本の「モスク」とイスラム社会

Yahooニュース特集に記事を書きました。
https://news.yahoo.co.jp/feature/773

移民が増え、在日ムスリム人口が過去最高となる15万人になった今、日本にある「モスク」の数もついに100を超えました。ムスリムにとってモスクとはどういった存在なのか。その中で彼ら/彼女らはどのような時間を過ごしているのか、モスクを中心に営まれる日本のムスリムコミュニティの実態とは。そうしたことを取材しました。

いつもは撮影をしているYahooニュース特集ですが、今回は取材も執筆も撮影もぜんぶ自分で担当させて頂きました。6000文字の長文ですが、丁寧に取材して、力を入れて書きました。今まで日本のメディアに出ている在日ムスリム関連の記事の中では、かなり詳しく取材できている方ではないかと思います。
ぜひご一読ください。

『ジャシム一家』銀座ニコンサロン展を終えて

『ジャシム一家』の銀座ニコンサロンでの展示、きょう無事に終わりました。6日間で約1500人の方にお越しいただき、盛況のうちに終えることができました。

会場で予想以上の反響と質問をいただき、毎日午後から夕方までずっとジャシム一家や彼らムスリムのコミュニティのこと、展示の意図などをお話しているような状況でした。日本に住む移民やムスリムについて、みなさんとても興味と関心を持っていることに驚きました。

事前情報なしで会場に入ってきた方も、日本家屋を改築したモスクの前の礼拝の写真など、びっくりされている方が多かったです。それぞれの方が自分なりに写真を解釈して、彼らの暮らしのことをいろいろと想像してくれたのがうれしいことでした。

この1年半くらいの間、今はもうなくなってしまった別の公募展を含め、2〜3ヶ月に一度、合計7回もポートフォリオをまとめ展示案を作り直して応募を繰り返し、今回ようやく銀座ニコンサロンで展示を開くことができました。その過程で、最初はいろんな方に多少アドバイスをもらっていたのですが、7回目はすべて自分ひとりで編集を行いました。

一つ一つの写真をプリントしてじっくり眺め、何が写っていて、あるいは写っていないのか、丹念に選んでいきました。そして、自分がジャシム一家やムスリムのコミュニティの中で時間を過ごしている間に、おおっ、と驚いた瞬間やすごいと感じた場面、いいなあと思った瞬間に身体が反応してシャッターを切った写真を淡々と並べることにしました。自分が感じている雰囲気や彼らとの距離感を素直に表すためです。

すべて自分で決めるのはかなり苦しい作業でした。写真は撮るのが半分、編集が半分とよく言われますが、その意味を体感したところです。もうだめかとあきらめそうになったこともありましたが、粘り強く編集を続けてよかったと思います。

こうしたギャラリーでの個展ははじめてでしたが、来場者の反応を直にみて、聞くことができ、写真をやっている人間としてまたひとつ、展示という面白さを知りました。いろんな課題や今後の計画も見えてきました。あとは、展示を構成する段階でようやくクリアになってきたので、迷走していた写真集の編集作業も再開したいと思います。

大多数のはじめてお会いする方に加え、多くの友人知人の方にも来て頂きました。後半は、SNSでみたと言って来られた方がとても増えた印象です。

僕の育った長崎の島を知っている人、北海道の人、北大の先生や同期先輩後輩、昔トルコからイランまで一緒に旅をした人、パキスタンで会った人、インドで会った人、沖縄の人、ブラジルで会った人、阿佐ヶ谷の人、昔の職場の上司、写真家の仲間たちやいま一緒に仕事をしている人。また都内のモスクに行ったらなぜか埼玉在住のムスリムに写真展を紹介され飛んで来てくれたイスラム研究者の方など、本当にたくさんの方にお会いすることができ、自分の半生を振り返っているような気持ちにもなりました。

強く印象に残っているのは、パキスタンかどこか南アジア系のハーフの顔立ちをした若い女性が、丁寧に文章を読んでからほんとうにじっくりと展示をみてくれ、よかったです、と一言会釈して会場を出て行かれたことでした。

最後に、展示にきて頂いた方、またSNSでシェアしてくださった方などほんとうにありがとうございました。今月 9/28 -10/4には大阪ニコンサロンで同じ展示をしますので、関西の方や大阪に出張の方はぜひご来場ください。会場でお待ちしております。

今後は、札幌や他の場所などでもしばらく展示を続けていきたいと思っていますので(まだ何も決まっていませんが)、そちらの方もよろしくお願いいたします。
そして、素晴らしい場所を用意していただいたNikonの方に感謝いたします。

田川基成 写真展 「ジャシム一家」開催

Jashim_018

田川基成 写真展「ジャシム一家」
https://goo.gl/quwMyB

会期 | 2017年8/30(水)- 9/5(火)
開廊 | 10:30 – 18:30
住所 | 東京都中央区銀座7丁目10-1
https://goo.gl/NwL3zz
※9/3(日)は休廊

レセプションパーティー
日付 | 8/30(金)
時間 | 18:30-20:00

-写真展に寄せて-
2012年、あるきっかけから日本に住むムスリム(イスラム教徒)のバングラデシュ移民家族と知り合い、親しく付き合うようになりました。父のシクダール・ジャシムさんはバブルの絶頂期に来日し、建設や解体の現場で働いてきた人です。ジャシムさんと妻、三女一男の家族は千葉県郊外にある団地で暮らしています。田園が広がるその地域は、水と緑にあふれた母国ベンガルの風景とも似ているせいか、バングラデシュや南アジア出身のムスリムの人々がゆるやかなコミュニティをつくり、中古車などの貿易や建設の仕事をしながら暮らしています。
ジャシム一家の生活には、我々がムスリムに対して連想しがちな、毎日必ず五回熱心に礼拝するような姿はありません。郊外に住む日本人の家族と同じように車で大型スーパーに行って食材を買い込み、自宅でカレーを作って食べた後、Youtubeやテレビを見て過ごす。お盆に団地の公園の夏祭りに出かけ花火を観て夕涼みしたかと思えば、断食月が明けた朝には近郊にある日本家屋を改築したモスクに参拝し、大勢のムスリムと一緒にイスラム暦の新年を祝う。彼らはイスラムとバングラデシュという二つのアイデンティティを大切にしながらも、日本の言語や文化・風習にも親しみ、ひょうひょうと生きている。私はそのことにかえって移民の生活のリアリティを感じます。

彼らと過ごした時間は、想像よりもずっと静かで、淡々と流れていきました。それはたしかに日本でありながらも、どこか知らない場所にいるような、不思議で豊かな時間でした。この国に根を張り伸ばそうとしている彼らは、これからどのような未来を迎えるのでしょうか。いまは期待と少しの心配を胸に抱いています。

「日本のイスラム移民社会」について

「日本のイスラム移民社会」はすごく大きいテーマですが、2011年の東日本大震災の後、東北の被災地を継続的に支援していた在日ムスリム(イスラム教徒)たちと出会ったことがきっかけで取材をはじめました。

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それ以前には、学生時代に西はボスニア・ヘルツェゴビナのサライェヴォ、東はバングラデシュやミャンマーまで、イスラム圏を旅してから帰国し、日本に住んでいるムスリムがどのように暮らしているのか、ずっと興味がありました。

日本に住んでいる彼らムスリムと付き合ってみると、日本社会に溶け込んでいる部分も、独自のムスリム・コミュニティを築いている面も、両方あり、当たり前ですが、なかなか一概に言えないものだと実感しました。

東京都内や千葉・埼玉などにある、雑居ビルの一部だったり、ビルごと買い取ってあったり、あるいはプレハブだったりする日本のモスク(礼拝所)に通ってきました。特に週末になると、近隣に住むムスリムがそこへたくさん集まって礼拝し、一緒に食事を食べたり、子供に勉強やアラビア語を教えたりしています。

モスクの部屋で聖典クルアーンを一生懸命に読み上げるムスリムや、モスクのイマームや世話人に家族や生活の悩み相談をする姿は、自分が子供の頃、故郷にある浄土真宗東本願寺派のお寺に通っていた人々の姿を思い出し、懐かしさすら覚えました。彫りの深い顔に、立派な髭をたくわえたりしていて、一見とてもイカつい人もいますが、仲良くなるととても良くしてくれるのは、海外でイスラム圏を旅したときと全く同じです。

また、たとえばアラビア半島出身のムスリムと、バングラデシュのムスリムでは、イスラムのとらえかた、文化、生活習慣や性格まで、幅がとてもあり、一口にイスラムといっても、実はすごく多様なものだということが分かってきました。一方で、ムスリム同士はただイスラムを信じているというだけで、すぐ打ち解けて助け合ったりする面もあります。

2001年の9・11事件の後は、やはり日本でも差別や偏見が増え、不快な思いをすることもたまにあると彼らからよく聞きます。また、日本にあるモスクと在日ムスリムはなかりの割合で公安に監視されていて、カメラを持ってモスクを訪ねると、はじめは怪訝な顔をされることもあります。

一方で、日本では宗教に対する寛容度が高いためか、東北の被災地でそうであったように、意外に外から来たムスリムとネイティブの日本人が打ち解けて仲良くなってしまう面もあるように感じます。欧米より日本の方が暮らしやすいと言うムスリムも少なくないです。ただ、日本では子供にイスラムを教えられる学校が教育施設がないところが、ネックになっているようです。

近年、欧州ではムスリムと現地社会の軋轢が増し、またイスラム圏から難民が大挙して押し寄せるという状況になっています。日本では、それほど深刻な問題はまだ起きていません。イスラムも含めて、宗教や文化、ルーツを異にする人々が、欧米の先進国とはまた違った形で社会の中で共存できる可能性もあるような気もします。

日本にはすでに数百カ所のモスクがあって、その数は増え続けており、ムスリムの数も少しづつ増えています。ただその存在や、彼らが何を信じて、どのように生きているのか、まだあまり知られていないと感じているので、彼らのところに通って写真を撮ってきました。

また、日本でも、これから労働力を増やすために大量に移民を受け入れる必要があるという人もいますが、あまりに急激に(労働力として、政策的に、意図的に)移民を増やすのは、いろいろな面で準備が間に合わず、問題があると個人的には感じています。

上野彦馬賞2015、日本写真芸術学会奨励賞を受賞しました

2011年から取材している「日本のイスラム移民社会」の写真5枚が、今年の上野彦馬賞の日本写真芸術学会奨励賞に選ばれました。以下のギャラリーで写真が展示されるようです。

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九州産業大学美術館     10月31日(土)~11月14日(土)

東京芸術劇場ギャラリー   12月4日(金)~12月13日(日)

北海道東川町文化ギャラリー 1月7日(木)~28日(木)

My photo story of ”Islamic society in Japan” which I followed since 2011, has received this year’s Photo Art Society of Japan – Encouragement Award, of Ueno Hikoma Award. Going to exhibit in Kyushu Sangyo University Museum 10/31〜11/14
Tokyo Metropolitan Teatre 12/4〜12/13
Hokkaido Higashikawa Culture garally 1/7〜1/28

http://mainichi.jp/select/news/20150929k0000m040035000c.html

被災地で支援を続けるイスラム教徒たち

2011年6月13日に投稿したブログ(旧ブログより移行)

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(被災者のおばあさんに声をかけるパキスタン人のラジャさん)

日本に住むムスリム(イスラム教徒)たちが震災の発生以来、被災地で支援を続けている。活動しているのは日本イスラム文化センターの会員達で、東京都内にある礼拝施設、マスジド大塚を拠点として被災地へ支援物資とボランティアスタッフを送り、現在も現地で炊き出しを行っている …続きを読む »